2025/07/23 22:12
都会の舗道を歩いていると、アスファルトの隙間にふと、小さな草花が咲いているのを見つけることがあります。
車の音、人の声、信号のリズム。あらゆるものが忙しなく流れていく街の中で、その花は、驚くほど静かにそこにいる。ただ、そこに咲いている。それだけ。
その佇まいには、たしかな気配があります。誰にも呼ばれていないのに、ちゃんとそこにいて、自分のリズムで咲いている。
ビルとビルの間の細い裏路地や、古い塀の根元、電柱の足もと。ほんのわずかな土の上に根を張って、小さな蕾をひらいている。人の目からは見落とされがちなその命たちが、いつも私には、なんだかいとおしく思えるのです。
もし、そこをただ通り過ぎていたら、気づかないままでいたのかもしれません。けれど、少しだけ目を落とし、ほんのわずか心の速度を緩めると、彼らの姿がふいに視界に入ってくる。まるで「見つけてくれてありがとう」とでも言うように、小さく揺れて。
日々の暮らしのなかで、大きなことばかりに目がいきがちだけれど、小さなものたちにも目を向けて、見つめてみることも大事かなと思うのです。
すきまの草花が、今日もどこかで咲いている。それだけで、世界はちょっとやさしくなる気がします。
*画像はMidjourneyという画像生成AIでつくりました。